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HIGASHIHIROSHIMA東広島市を読み解く4つのキーワード
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INTERVIEW
ヤルキマントッキーズ――この一風変わった名前を持つ会社のメイン事業はゲームなどのエンターテイメントコンテンツ開発。近年は世界中で話題になっている仮想空間=メタバースや、NFTといったデジタルアート作品の方面にも力を入れている。さらに、それらをベースに、プロのeスポーツチーム「TEAM iXA(チーム・イクサ)」の運営を行ったり、eスポーツ大会「iXA CUP(イクサ・カップ)」を主催したりと幅広い。この世の“ヤルキマン”を集め、“突起”のごとく突き抜けたい、という志を掲げる代表の板垣 護(いたがき・まもる)さんに東広島市移転に至るまでの経緯などをうかがった。
移転までの経緯
コロナをきっかけにオフィスが
東京にある必要性について考えた
私たちの会社はもともと東京に本社があったのですが、新型コロナウイルスの流行でリモートワークの体制を整えたことをきっかけに「オフィスが東京にある必要ってあるんだろうか?」と考えはじめました。改めて業務に必要な条件を洗い出してみると、2つの要素に集約されることに気が付いて。1つは海外のeスポーツ大会に出場するために空港が近いこと、もう1つは取引先の多い東京まで1~2時間で行けること。そんなときにFacebookを見ていたら、広島で働いている知人が「ずっと広島県」という移転サポートプランを紹介していて、広島空港が近い東広島市なら条件に合うなと思って興味を持ちました。
いま私たちは東広島市の高屋町に事務所を構えていますが、実際ここはアクセスが最高なんです。山陽自動車道の高屋インターチェンジが近く、JR山陽本線の西高屋駅までは徒歩4分。さらに新幹線の東広島駅も近く、広島空港まで車で10分。広島市内にも行きやすい。今後eスポーツの大会で「TEAM iXA」のメンバーに来てもらうときも、アクセスは重要ですからね。また、私は高校まで広島ですごしていたので、このあたりの土地勘もあって。それで2021年春、正社員8人のうち3人と一緒に東広島市にやって来ました。
移転して思うこと
地元の方々に応援してもらえる
プロeスポーツチームになれれば
本社を移転しましたが、仕事面での支障はほぼありません。コンテンツの開発についてはすでにリモート体制が整っていますし、東京メンバーとの週1回のミーティングも、私はVRゴーグルを付けて参加しているので離れている感じもしません(笑)。私たちは東京のコンテンツ会社と仕事をすることが多いので、作業を東京でやるか広島でやるかの違いだけ。唯一不満なのはゲームセンターが近くにないことくらい(笑)。空気のきれいさは東京とは比べものにならないですよ!
ただ、業務的には大きな変化がありました。運営していたeスポーツチームを地域密着型のプロチーム「広島TEAM iXA」として再編したのです。これは私たちが広島県や東広島市の助成制度を活用して広島に来たので、地元に恩返しができればと思ったことが発端です。チームの活動はグローバルですが、今後は広島の方々に応援してもらえる存在になれればと思います。いまeスポーツは注目されている分野ですが、地域に根差したプロeスポーツチームというのはまだあまり例がありません。
また、私たちが主催している大会「iXA CUP」でも「広島応援」をテーマに広島名産品のプレゼントをはじめました。“広島のエンタメ会社”“地元密着”という柱ができたことは大きな変化ですね。
今後の展開
ゲームやeスポーツを通じて
引きこもりの若者の支援に携わる
やはり地元に貢献したいという想いがあります。たとえば西条の酒まつりとのコラボレーション。会場でeスポーツのエキシビション大会をやることで、お酒を目的に来た方もお祭りをさらに楽しめると思うんです。また、今後「広島TEAM iXA」のスポンサーは広島の地場企業を優先していく予定です。eスポーツを通して地元企業の知名度向上やPRに協力できたらと思いますし、一緒に広島を盛り上げていく空気を作れれば良いですね。それによって、私たちも広島の人から応援されるチームになれると思いますからね。
あと、今は教育の分野にも関心があります。たとえば引きこもりの若者の中にも、ゲームやeスポーツを通してなら外部とコミュニケーションをとれる子たちがいると思うんです。たとえば彼らに「iXA CUP」の運営を手伝ってもらうことで、社会との接点を作るなど、そういった面でもお役に立てればと考えています。
最終的には、広島にeスポーツの国際大会を誘致できるといいですね。「広島=eスポーツの街」と認められるようになってほしいですし、今後は東広島を拠点に、広島の街もeスポーツも盛り上げていきたいです!